2018年06月20日

「江戸前」とは東京湾でとれた魚を使っているということ

鋸南町の気温は20℃ 雨

カマス
スズキ目サバ亜目カマス科

カマスの身は甘く上品な味わいです。旬の今、脂がのって旨味がましています。

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(カマス寿司、脂がのっています。腹の部分)

カマスは、えさを良く食べてどんどん成長するので、丸干し、ヒラキ干し、寿司、塩焼き、煮魚、刺身と、大きさによって、色んな調理法で味が楽しめる魚です。

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(脂ののったカマス)

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カマスの身肉の水分は多少多めなので、たて塩をすることで水分が出て身がしまります、塩は身肉のたんぱく質の変性に関わり、熟成を促進させます。そしてたんぱく質からグルタミン酸やアスパラギン酸が遊離して旨味成分が増えます。

すしの伝来と発展

「いなりずし」や「巻きずし」は「にぎりずし」より先に普及していたが、この起源は徳川時代となった頃の家康の権力範囲であった東海地方からで、その頃、現在のものとほぼ同じ形のものが、旅行者の携帯食として重用されていたという。これが宿場ごとに伝えられ、家康が居所を江戸に定めるとともに江戸に入って来て元禄(1688-1703)の終わりごろ、一般に普及し始めたのだとされている。

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江戸では、以上のように「なれずし」から発展した「箱ずし」に代わって「にぎりずし」が急速に普及したが関西では依然として「箱ずし」が主体的で、現在でも関西のすしといえば「箱ずし」をさす程であるが、当時の様子については天保年間に出た「守貞漫稿」に次のように書かれている。

「すしは三都とも押鮓なりしが、江戸はいつごろよりか箱ずし廃し握りずしのみとなる。箱ずしの廃せしは五.六十年以来成り、箱ずしというは、方四寸ばかりの下図のごとき箱に飯を塩と監を合せ、まず半分入れ、しょうゆ煮の椎茸を細かに切りこれを入れ、また飯をのせ下図のように玉子焼き、タイの刺身、アワビの薄片をのせ、縦横十二に切る。横四つ縦三つ、おおよそ十二片とする。
中央の四隅は玉子で、黒きはしいたけ、白きはタイのさしみまたはアワビの片身である」

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上記の箱ずしは、当時一箱48文で売られ、十二に切ったものは一個4文であったという。

大阪で最初に「にぎりずし」を始めたのは、文政の末期(1838年)に道頓堀戎橋(後に大西の芝居の西隣りに移転)で「松の鮓」という江戸前という江戸風にぎりずしを売った店で、大いに繁盛したと記録されている。名古屋地方は天保年間に入ってからであるという。

「にぎりずし」の店の暖簾によく「江戸前」と書かれているが「江戸前」とは江戸の前の海、すなわち今の東京湾のことで、東京湾でとれたイキのいい魚を使っているということを意味している。したがって、例えば関西で「江戸前」という意味を使うのは本来の意味からすれば間違いで、正しくは「江戸前風」と書かねばならないわけである。

最も現在では東京に水揚げされる魚も東京湾とは限らず、マグロなどは南方もので、エビに至っては南米あたりの冷凍ものが主であるから、「江戸前」という言葉自身が本来の意味を失っているというのが現状であるが、江戸時代は、もちろん冷凍冷蔵法による貯蔵法などは発展していなかったから、江戸の人は江戸前(東京湾)ものの魚でなければすしを食べられなかった訳である。
(出典:すし調理師入門 浅見安彦 橋本常隆著)

本日入荷の寿司種です。(入荷が少ないものは、早めに無くなるものもございます)

ハタ、生トリガイ、平貝、カツオ、トコブシ、カマス、サヨリ、春子鯛、シマアジ、アオヤギ、ハマグリ、花鯛、真鯛、甘鯛、金目鯛、煮アナゴ、カレイ、アワビ、サザエ、アジ、生サバ、シメサバ、イワシ、コハダ、地たこ、ダルマイカ、赤貝、ウニ(北海道、竹岡)、自家製玉子焼き、他
(魚介は全て天然物です)

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2018年04月23日

すしは発酵の食文化(発酵と腐敗は違います)

鋸南町の気温は18℃ 曇り
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すしは発酵の食文化

現代のすしは、酢を使った江戸前鮨が主流ですが、元々は魚を塩と米飯で乳酸発酵させた馴れ鮨でした。
酢は原料になる穀物や果実から醸造酒をつくり、そこへ酢酸菌を加え、酢酸発酵させて作りますが、乳酸発酵により酸味を生じさせた食品が本来のすしの形態といわれます。古い文献にはすしを鮓や酸しと記しています。昆布で〆る寿し、酢で〆る寿しなどは、馴れ鮨の進化したものといえます。

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(シメサバ寿し 酢で〆てます )

近頃は、熟成肉や熟成寿司などのワードが頻繁にメディアで取り上げられますが、間違った方法での熟成は腐敗との境界線が曖昧なので、食中毒の原因にもなりかねません。肉でも魚でも長年培った熟練の技法が必要です。

発酵は、狭義には、酵母菌(イースト菌)、乳酸菌などの微生物が嫌気条件下でエネルギーを得るために有機化合物を酸化して、アルコール、有機酸、二酸化炭素などを生成する過程である。
広義には、微生物を利用して、食品を製造すること、有機化合物を工業的に製造することをいう。好気条件下で行なわれる酸化発酵(酢酸菌による酢酸発酵など)もある。

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(シロムツ昆布〆寿し)

熟成は歳をとらせることで、酵素と様々な外的環境(温度、湿度、時間など)の総合作用によりタンパク質が分解されて、生命活動に不可欠な成分であるアミノ酸が増え旨味成分が出ることです。自身の細胞に含まれる分解酵素により分解されることであり、微生物の活動によるものではありません。また、食品を「寝かせる」「仕込む」とよく言われますが、これは熟成を意味します。

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(小肌寿し 酢で〆てます)

腐敗は 細菌、真菌、酵母など微生物によって、生物由来の有機物、特にタンパク質などの窒素を含んだ有機物が分解されること。腐るとも言う。ただし分解によって、人間に都合のよい物質が生じる場合は発酵といわれる。腐敗物には腐敗アミン(インドール、ケトン)などが生成分解するため独特の臭気(主に硫化水素やアンモニアなどによる悪臭)を放つ。また、腐敗によって増殖した微生物が病原性のものであった場合には有毒物質を生じ、食中毒の原因ともなる。

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(キス昆布〆)

発酵と腐敗の遣い

食品を放置しておくと微生物の作用で分解され,次第に外観やにおい,味などが変化し,最後には食べられなくなってしまう。このような現象を腐敗と呼んでいる。一方,発酵も微生物の働きによって食品成分が次第に分解していく現象である。

腐敗は魚や肉などタンパク質食品で顕著であるが,それだけでなく,米飯や野菜,果実類など炭水化物の多い食品でもふつうにみられる。また原料が同じでも,蒸した大豆に枯草菌を生やして納豆が作られる場合には発酵とよばれるが,煮立を放っておいて枯草菌が生え,アンモニア臭やネトが生じたときは腐敗と呼ばれる。

ヨーグルトや酒のように糖類が分解されて乳酸やアルコールなどが生成されるような場合は発酵と呼ばれるが,牛乳に乳酸が蓄積して凝固したものはある時は腐敗(または変敗)と呼ばれる。乳酸菌は一般に善玉菌としてのイメージが強いが,包装ハム・ソーセージなどでは変敗(ネト)原因菌ともなる。乳談菌が清酒中で増殖した場合は火落ちといって腐敗を意味する。

これらの例からもわかるように,腐敗と発酵の区別は,食品や微生物の種類,生成物の違いによるのではなく,人の価値観に基づいて,微生物作用のうち人間生活に有用な場合を発酵,有害な場合を腐敗と呼んでいるのである。したがって,臭いの強いくさやふなずしなども,微生物作用が認められるのであれば,それが好きな人にとっては発酵食品であり,嫌いな人にとっては腐敗品に過ぎないということになる。

腐敗防止のために生まれた水産発酵食品

魚介類は畜産動物に比べて,死後の自己消化や腐敗が早く,また,漁獲量の変動も大きいので,捕れるときに捕り,それをまず貯蔵しておく必要があった。したがって,昔から水産では魚獲された魚をいかに貯蔵して品質劣化を防止するかということが最重要の問題であり,干物にしろ,塩蔵品にしろ,魚肉ソーセージや缶詰のような加工品にしろ,水産加工品はほとんどが腐敗防止のために生まれたものといえる。たとえば,缶詰や魚肉ソーセ-ジは魚に付着している微生物を加熱殺菌しその後の外部からの微生物の汚染を密封容器(包装)によって防いだものであり,一方,塩蔵品や干物,佃煮,酢漬けなどは魚の塩分や水分, pHなどを微生物の増殖に不適当な条件にすることによってその増殖を抑制したものである。

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(自家製カツオの酒盗 肝と塩で発酵を促します)

ところで,水産加工品の中には,塩辛, くさや,ふなずしのように,微生物や自己消化酵素の働きをむしろ積極的に利用して作られていると考えられる発酵食品があるが,これらの加工品ももとは魚介類の貯蔵から生まれたと考えることができる。たとえば,イカを塩蔵している問に自己消化酵素や細菌の働きで独特の旨味や臭いが生じるようになったものが塩辛,塩干魚を作る際の塩水を数百年間,取り替えずに繰り返し使用してきたのがくさやの干物である。ふなずしも塩蔵しておいたフナを夏の土用の頃にご飯と一緒に漬け込み,乳酸発酵をおこさせることで保存性と風味を付与したものである。
(藤井建 農学博士)

本日入荷の寿司種です。(入荷が少ないものは、早めに無くなるものもございます)

平貝、カツオ、トコブシ、生トリガイ、カマス、サヨリ、春子鯛、シマアジ、アオヤギ、ハマグリ、花鯛、真鯛、甘鯛、金目鯛、煮アナゴ、カレイ、アワビ、サザエ、アジ、生サバ、シメサバ、イワシ、コハダ、地たこ、ダルマイカ、赤貝、ウニ、自家製玉子焼き、他
(魚介は全て天然物です)

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2017年11月10日

江戸前で獲れた魚はうまい!

鋸南町の気温は14℃ 晴れ
※11月22日(水)休業、23日(木)営業いたします。

武井周作が書き残した、江戸前の魚がうまいわけ

江戸時代、「江戸前で捕れた魚はうまい」という趣旨が書かれた文献は、いくつかある。しかし「江戸前の魚は何故うまいか」という問いかけへの答えを書いた書物は皆無に等しい。わずかに武井周作が「魚鑑」の冒頭に記した「いな(ぼら)」の項で、次のように書いているだけである。

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(サワラ寿し)

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(アナゴ寿し)

「(前略)肴よ、酒よといえども、先立つものは飯なりければ、炊かぬ家とてもなし。しかれば竈の煙ひまなく立ち上り、空をおおへり。溝どぶは、米の白いとぎ汁にて色をかえ、末は川に入り、川水これがために甘く、海に入れば潮も亦甘し。(中略)かの江戸前と称えるものは、東方生育の陽気を受けて生じ、五穀の滋味の甘きを食いて育つ。故に味 他国のものに勝れり(後略)」

要するに江戸中の米のとぎ汁が溝やドブを通じて川に入り、五穀の栄養分がすべて海に流れ込み、それを食って育つから江戸前の魚はうまいのだ、という趣旨である。

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(コハダ寿し)

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(ヒラメ寿し)

まだ顕微鏡もなく、食物連鎖の理論も確率していない時代であることを考えると、武井周作の視点は見事といってよいだろう。川から流れ込んだ養分が江戸前の魚をはぐくむのに大いに役立ち、それがために近隣の魚よりうまいという説明である。

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(シメサバ寿し)

この推察はほぼ正解といって間違いなかろう。日本に数ある入り江の中で、東京都内湾つまり江戸前の海ほど多くの河川が流れ込むところは他にはない。西は相模国との境である多摩川から始まり、東へ順に隅田川、荒川、中川と続き、江戸川で下総国との境となる。

上流部の山々に出来る腐葉土から作られた植物性プランクトンをたっぷり含んだ沢の水を集めて支流となり、それが本流へと流れ込み、やがて大河となってそれぞれの川が江戸前の海に流れ込む。すると」それを餌にして大量の動物性プランクトンが発生する。これが干潟に育つ貝類の餌となり、孵化したばかりの仔魚や稚魚を育む餌になる。

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(金目鯛寿し)

また、イワシやアジなどプランクトンを主食とする魚が岸辺に寄ってくる。するとそれを食いにスズキやサワラなどが沖から浅瀬まで回遊するようになる。そこで食物連鎖の頂点にたつ人間が一網打尽にして賞味する。
こうして見事な江戸前魚食文化に関するピラミッドが形成されてきたわけだ。

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(カンパチ寿し、腹と背)

川の水と海水が混じる海域を汽水域という。この汽水域こそ豊富なプランクトンがわく場所だ。江戸前の海とは、随所に川が流れ込み広大な汽水域を形成してきた所で、現在もその状態は変わりない。
(出典:江戸前の魚はなぜ美味しいのか 藤井克彦)



本日入荷の寿司種です。(入荷が少ないものは、早めに無くなるものもございます)

ヒラメ、ギラ、マハタ、アマダイ、シマアジ、カワハギ、サワラ、コチ、カンパチ、キス、アワビ、トコブシ、クロムツ、タチウオ、真鯛、花鯛、金目鯛、カツオ(勝浦産)、アジ、サバ、イワシ、コハダ、地たこ、アオリイカ、ダルマイカ、煮アナゴ、煮ハマグリ、サザエ、赤貝、自家製玉子焼き、ウニ、他
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